デジタルマルチメータ 日置電機 DT4282 レビュー

測定器
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馴れ初め

日置電機のマルチメータ、DT4282を買いました。
テスタは何台か持っていますが、だいたい安い4,000カウントクラスです。
確度はともかくとして、普段の使用には4,000カウントくらいで十分なんですが、安いテスタだとレンジが少なく、抵抗の選別に支障が出たり、5V~12Vくらいで分解能が不足したり、分流器を使っての電流測定(≒精密な電圧測定)で、高確度のものが欲しくなることがあります。

前々から一本くらいは良いテスタが欲しいと思いつつ、何台か廉価なものを使い続けていましたが、長く使うものだし、と清水の舞台から飛び下りるつもりで買いました。

テスタ選定

良いテスタ、とか言われると真っ先に思いつくのはFLUKEとかでしょうか。
根本的に高いのと、所望のクラスは液晶の数字が7セグメントじゃなくてドットマトリクスっぽかったので今回は除外。
Agilentとかも出してるのは知ってますが、あんまりピンとこなかったので除外。
これがネットワークアナライザとかLCRメータなら話は変わってくると思いますが。

入手容易で、デスクトップタイプではないハンドヘルドタイプということで見繕ったのは下記。

  • 三和 PC7000
  • 共立 1062
  • 日置 DT4282
メーカ/型番共立電気計器
1062
三和電気計器
PC7000
日置電機
DT4282
価格定価\55,000\28,800\56,000
実売\45,000\25,000\45,000
液晶桁数555
カウント50,00050,00060,000
バーグラフ×
バックライト
測定系電圧DC
AC
dBm
(Zm=20種)
dBV×
電流DC
AC
抵抗
周波数
温度
静電容量
コンダクタンス×
Duty×
導通チェック
ダイオード
機能データホールド
オートホールド×
ピークホールド×
ピーク測定××
Max/Min/Avg
零調Ω, F××
RELΔ
その他ユーザCAL××
測定カテゴリAC/DC 1kVCAT.IIICAT.IICAT.III
AC/DC 600VCAT.IVCAT.IIICAT.IV

三和PC7000の測定カテゴリはひとつ下ですが、その他の基本機能はほぼ同等です。
利便性ではオートホールドがあると嬉しいですが、好みの世界ですね。
試作とか未知の電圧測定では使わないこともあると思うので。

零調は、デジタルマルチメータでは不要だと思います。
アナログタイプならメータの零調と最大値での0Ω調整が必要ですが、デジタルでは結局A/Dコンバータ次第なので、内部のリファレンスやA/Dの精度が出ていれば不要でしょう。

三和電気計器 PC7000

3種の中で一番廉価なのがこちら。
ワンアクション・ワンボタンが好みなので、ボタンが少ないため除外しました。

三和のテスタ使ってるし、作り悪くないしクラスを考えれば特に不満もないんですが、正直高い三和ってあんまりピンとこないんですよね。三和には申し訳ないんですが・・・。
校正上の都合なのか、仕事でも個人持ちを除けばあまり見ません。

共立電気計器 1062 vs 日置電機 DT4282

この二機種は、大体同じようなクラスだと思います。レンジや確度もほぼ同じような感じです。
定価・実売価格ともにほぼ同じです。

共立電気計器 1062日置電機 DT4282

(共立1062の説明書、日置DT4282のカタログより)

ちょっと悩みましたが、個人的には日置電機 DT4282がベストでした。

  • 日置の方が液晶の可読性が良さそう。
    詰め込みすぎていなくて読みやすく、RELΔとかのサブ表示も良い感じ。
  •  共立は測定値は大きいが縦長で詰まっているので、一瞬見た時に4と9とかを見間違えるかも。
  •  共立のサブ表示はGame&Watchの時計みたいな存在感で良くない
  • 日置の方がボタンピッチ、特にHOLDまわりが広く操作しやすそう
  • 日置の方が抵抗値の読み出しが速そう
  • 日置(上田市)の設計、製作で日本製であることをプッシュしている
  • 日置技報で開発が取り上げられており、設計者の苦労話が面白かった

技報の類って結構面白いんですよね。
営業からするとカタログ以上の価値がある意味がわからないかもしれませんが、同じ理系としては開発の裏話や深いところの話に惹かれてしまいます。

レビュー

化粧箱


吊り下げ出来るような化粧箱に入ってます。

外観


内容物は、本体、説明書、電池、テストリード。


大きさはVHSとかより一回りでかいです。FLUKEなら187とかよりでかい。
個人的には、小さすぎるのは使いづらいためこちらのほうがいいです。


足の裏に、起動時のオプションが書かれています。
これは親切ですね、いちいち説明書を出さなくても確認できでGoodです。
滑り止めのラバーも付いていて言うことありません。
こういう成形は作りにくいしコストもかかるので、大変だったんだろうなと思いますね。


ドロッププルーフという割には、ロータリースイッチが落とし込みにしてある共立と違って出っ張っています。
現場仕事とかも想定してあるようなので、多分手袋とかを考慮したんじゃないかと思います。


うしろ


シリアル番号は、落とし込んだところに貼り付けられています。
落とし込みがミソで、現場作業などが考えられていて、いつの間にか削れて読めなくなることを防いでいます。


ネジは金属製で、#2のプラスドライバーでもマイナスドライバーでも開けられるタイプ。
ネジが外れずに蓋にくっついてくるタイプで、これもGoodです。
ここがプラの機種は好きではありません。FLUKEとかもプラですね。
本体側も、インサートナットが付いていて抜かりありません。
ネジ1本でもコストを掛けて使い勝手を重視しています。


電池。東芝の日本製電池が付いて来ました。
発売当初のプレスリリースで日本製をプッシュしていましたが、こだわっていますね。
ヒューズボックスは、マイナスドライバでコジれるように片側の樹脂が斜めに切ってあります。
テコにできるよう、リブまで付いています。

テストリード


テストリードのケーブルは何とTOTOKU製!
以前、CV921XというTOTOKUのCRTモニタを使ってました。
東京特殊電線っていうくらいだから電線屋なのは知ってましたが、こんなとこでお目にかかるとはw

凄くしなやかで使いやすいです。
最近だと、メモハイのBNC-ワニ口ケーブルもTOTOKU製になっていましたが、このケーブルは違います。
旧式の5Cとか5Dみたいな感触のケーブルと異なり、異様に可とう性が良いのが特徴です。
恒温槽とかで低温環境に放り込んでもカチカチにならないため、すごく便利です。


このクラスだけあって、先端のチップ部分は金メッキです。

感動のオートホールド

使い勝手ですが、オートホールドに感動しました。

DT4281, DT4282デジタルマルチメータ機能紹介

日置のyoutubeにあるビデオを見たときは「ふーん」程度だったのですが、これ便利すぎて泣きそうです。

HIOKI DT4282 デジタルマルチメータ

うちの使用感としては↑こんな感じです。
かなり速いので、本当にちょうど良いところでホールドされるの?と思っていたのですが、回路の電源ON時過渡的なところは無視してくれるし、触りが安定したところできっちり止まります。凄い!

購入後いろいろ使ってきましたが、測定が速くて、表示見てる限りだとオーバーシュートとかおかしな挙動も気にならないので、そもそもの素性が良いんでしょうね。


良い子は真似してはいけない当たり方なのはさておき、dBm測定ができ、周波数も同時に出るのが便利です。
0.775V@600ΩのdBmに加え、1V基準ののdBVもいけます。
カタログによると、dBmのインピーダンスが20種類から選べるようです。
dB「m」の場合、600Ω系で0.775Vしかないと思っていましたが、他のインピーダンスでもdBmになるのかな?

気になるところ


良いところだけ挙げるのもアレなので、悪いところも。


高視野角で見やすいことを謳っていますが、確かに高視野角です。
液晶自体の影がかなり落ちていてぱっと見が悪いかもしれません。しかも斜め手前が一番悪い。
写真だとわかりにくいですが・・・


とはいえ、配置や大きさのバランスは非常に良く、そのへんは好感触です。
FLUKEなど他のテスタと比べると、フォントや配置の視認性の良さはピカイチです。
特にカタログとかには表記がありませんが、宣伝が下手というか、真面目ですよね。
基本機能は忠実に作ってあります。


ロータリースイッチの感触は、あまり良くありません。

  • 誤挿入防止シャッターをつけているためか、電流レンジのあたりだけ重い
  • 電流レンジは、シャッターの動きごとに重さや感触が全然違う
  • ノッチの感触が悪い
    カチ、カチ、というよりグニュグニュする感じ。電流レンジはそうでもないんですが
  • ノッチのテンションが弱く、若干行き過ぎ、振り戻しがあり中途半端な場所に止められる


ノッチは、若干の振り戻しでシャッターが閉まりきらずに隙間ができることもあります。


ノッチの感触だけで言えば、こういう激安テスタにも劣るかもしれません。
一番手に触れる部分がここなので、ちょっと惜しいところです。
正直、平べったいカードテスタとか、秋月で売ってる中華テスタとかでも、
ノッチの効きが悪くてロータリースイッチの感触が嫌、なんて記憶ないんですが・・・

もっとも、日置の頑丈さは知っているので耐久性は比べ物になりませんが。
感触が変わっているのは理由があって、ショックプルーフ・ダストプルーフ構造なので、ガスケットか何かが入っているようです。
FLUKEの187なんかだと小気味よい代わりにガスケットが入っていないので、耐久性重視の設計なのでしょう。


あとは、ヒューズ外さなくてもどっちがどっちか印刷なり凹凸で書いてあるとなお良かったのですが、さすがにそこまではわがままですかね。

ちょっと気になるところはありますが、どちらにせよ、このテスタの良さを見れば見なかったことにできるレベルです。

総評


個人的にDT4282は、大当たりでした。
その他写真では伝わらない、使い勝手の面でも素晴らしいです。

  • レスポンスが速く、使っていて気持ち良い
  • オートホールドの使い勝手と挙動がとても良く、測定が楽しい
  • 表示書き換えが速く、変な挙動がない
    (測定が遅いとかオーバーシュートが出るとか、変に気になるところがない)
  • 最下位桁まで測定が安定している
  • 高分解能、高精度でオートレンジの区切りが良い
  • テストリードが柔らかく先端金メッキで手入れが楽
    (この分解能クラスなら接触抵抗的に当たり前でしょうが)
  • テストリード誤挿入防止シャッターがある
    (間違えようがないと思いますが、寝ぼけててもポカミスがない)
  • 液晶の視野角が広い
  • 液晶に詰め込みすぎておらず、測定値の可読性が良い
  • 液晶カバーと液晶の間の空間が広く、落としてもいきなり液晶に北斗百裂拳する可能性が低い
  • オートパワーオフ無効とか、起動オプションが本体に書いてある
  • でかくて使いやすい (人によるとおもわれる)
  • ボタンの間隔が広くて押しやすく、隣のボタンを押すことが非常に少ない
  • HOLDに色がついているので押し間違いしにくい
  • フチ、足の周りのバンパー部(青色のところ)がゴムっぽい樹脂で滑りにくい
  • 電池残量マークがあるので、早めに電池交換できる
    (電池交換マークがあるテスタは色々ありますが、3段階表示はあまりないと思う)

なかなか使い勝手が良く、テスタ一つでここまで快適さが違うのかと思いました。
もったいないから「ここぞ」という時用なんてことはなく、毎回これ使いたいと思います。

安いテスタによくある、精度は良くないもがhFEとか何でも測れる機種のように測定項目は多くないですが、高確度、高分解能で基本機能をかなり練り込んで作られています。
測定対象がふらつくとかがなければ、最下位桁まで動きが安定していて、それでいて速いので快適です。

特に、3~5V前後あたりの分解能が素晴らしいです。
小数点以下4桁機でも、3.3V、5V系の電源測定やヒステリシス具合を確認する時にレンジが変わってしまい小数点以下の桁が読めなくなるものがあるように思います。
DT4282は、そんなシーンでもレンジの区切りや有効桁数に不満を感じることはありません。

高確度、高分解能で良いテスタが1台欲しい、そんな人にお勧めです。

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